日々のつれづれ 4
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言霊学の系譜と定義

言霊学の系譜は神道霊学の系譜であると言っても過言ではない。それだけ日本の古神道と深く結びついている。
が、特に学問的系譜として確立された言霊学は千八百年代後半に始まっている。
 すなわち、伏見稲荷大社秘伝「稲荷古伝」に端を発する山口志道の流れと宮中秘伝「真素美鏡」に端を発する中
村孝道の流れである。山口は火と水のムスビによって言霊がなりたち言霊の妙により万物が生成化育されるとした。
中村は「ス」声を中心に七十五言霊が音図配列された姿に宇宙を見いだし、これを基として万物の実相を操った。
中村の流れは大石凝真素美によって充実せられ水谷清によって大成された。一方、出口王仁三郎がこの二大潮流
を統合集大成したのであった。 また、国学者堀秀成は発音時の舌・口の形から独自の言霊理論を構築した。

 言霊の定義付けは人により時により様々である。たとえば当初「言葉に力(チカラ)が宿る」という考え方もあるし、

 一、言葉は力(チカラ)そのもの=(イコール)言霊である

という考えも見られる点はきわめて興味深い。これは言霊が現象として捉えられた時の見方であり、言霊とは

 二、宇宙創世期から発せられ鳴り渡り続けている音
 三、意志力のエネルギー
 四、波動

なのである。聖書に、「はじめにことばありき」とあるが、これに符合している。出口王仁三郎によれば宇宙・天地に鳴
りなり渡っている五大父音を聞くには両手で両耳をふさげば良いという。言霊は万物を生成化育せしめるために活き
続ける根元のエネルギーだというのだ。だが、それでは言葉でなく音なのではないか?という疑問が涌いてくる。王仁
三郎曰く、声(言葉)と音の違いは「意志」の有り無しである、と。

 五、話す人が言葉に魂をこめたもの

という捉え方が意志の入った現実的な声としての言霊になろう。だから説得力のある言葉は人を動かすのである。更
に分解するなら、例えば「ヤ」と「マ」という個々の言霊要素の複合によって、これを聴いた者の中に「山」が喚起され
る。意志の伝達力としての言霊のはたらきである。

 六、神のことば・神示・神言

も、意志の伝達を思えば言霊と言うことができるが、これに対しては「俗っぽい。」という意見があった。発信者(神)の
レベルにより、かなり違いが出るだろう。
「音霊」という表現もある位、現実世界では声と音の区別がはっきりしている。しかし、「宇宙の意志」に思いを馳せる
なら根元的・シンプルな波動としての音も宇宙の意志が込められた声であり、その意味では言霊は声も音も包みこん
でしまうのである。
 ところで、理屈だけではイミがないので実地の実践応用例をあげよう。例えば、植芝盛平が開いた合気道は言霊の
妙用を活用した武道である。巷で噂の新体道においても「ア」「エ」「イ」「オ」「ウン」をもって型となし武術に応用してい
るという。一発言霊では「シーーー」という"しづめ"の言霊や「メッ」という"やめ"の言霊は大人をはじめ幼児や動物で
さえ従ってしまう。その他、神道の祝詞や和歌・歌謡・賛美歌・お経・真言も言霊と深いかかわりがある。常にきれいな
言葉使いで話す女性は美しくなる。オタッキーな領域では言霊を発しつつ巨大な岩を持ち上げたり、天候を自在にあ
やつったりすることも出来る。(その秘密は「ウ」声に有る。)更に、霊界が言霊を駆使する世界であることは「霊界物
語」や「エジプト死者の書」などに詳しく述べられている。

 ああ、言霊は、なんてすごいものなのでせう!!
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