第四章 世界改造設計図"霊界物語"のツボ

全巻の骨子
 "錦の土産"に曰く「変性女子の身魂を、大正7年10月の12日から伊都能賣の御魂と致 して、変性男子の口にて現し得なかった神界の大経綸を書きしるさせ、天地の誠実地の御 用に使う事に相なりた。」(大正12年旧10月12日)と。言うまでもなくこれが"霊界物語"と 結実したのだ。そしてまた曰く「伊都能賣の御魂、霊国の天人なる大八洲彦命の精霊を充 たし、瑞月の体に来たりて口述発表したる」(大正12年旧10月13日)とあるごとく、物語の 編集長は三ツの御魂大神・大八洲彦命(言霊別命とも現れた)である。従って全巻神示と見 て良かろう。尚、この時既に出口聖師は瑞の御魂ではなく伊都能賣の御魂になっていること に気をつけよう。さて、第1巻の附記には"霊界物語"全巻の精神は第1巻の或る一点を読 めば判る旨述べられている。筆者はこの点に付いて以前、物語の第一人者木庭次守氏にど の部分がそうなのか尋ねたことがあるが、答えは「第1巻の全ての箇所、どこを読んでも判 る」とのこと。それはまあそうだろうし基本宣伝歌だけでも判ることは判るだろう。しかし、こ こでは序にある以下の箇所ではないかと提起したい。

 この"霊界物語"は、天地剖判の初めより天の岩戸開き後、神素盞鳴命が地球上に跋扈 跳梁せる八岐大蛇を寸断し、ついに叢雲宝剣を得て天祖に奉り、至誠を天地に表はし五六 七神政の成就、松の世を建設し、国祖を地上霊界の主宰神たらしめたまひし太古の神代の 物語および霊界探検の大要を略述し、苦集滅道を説き、道法礼説を開示せしもの

実に全てを言い尽くしているではないか。特に「国祖を地上霊界の主宰神たらしめたまひし」 というように瑞霊の方が上だとか貴いとか最高とかいう平面的次元のことは問題外なので ある。流れとしては第14巻までが大本神諭の解説と神界混乱のいきさつであり、第15巻 から後が物語の主役たる神素盞鳴尊と宣伝使達の救世経綸となる。「神様同士の喧嘩の 話だと思った。」という愛善苑窪田氏の評は的を射ている。そしてそれらの伏線は第1巻に あり、故に第1巻は全巻の骨子と言うことが出来る。もうひとつの特徴づけは第12巻序文に 「霊界物語は..確言書であり、大神劇の脚本であります。」とある所。世界改造(三千世界 の立て替え立て直し)の型を出した、当時の大本内での出来事が大神劇として演じられたも のであり、やがて実地になるというその脚本が"霊界物語"であるならば、それは世界改造 の設計図だと言っても過言では無かろう。

三大神系と三大邪神系
 "霊界物語"では国常立尊(霊主体従)、盤古大神(体主霊従)、大自在天神(力主体霊) の三神系が入り乱れる。登場神使がどの神系かをふまえると読み易いだろう。同時に八岐 大蛇、金毛九尾の悪狐、邪鬼の三種が取り付いて天使達を惑わす。特に、その典型たるウ ラナイ教高姫、黒姫らやバラモン教大黒主らの動向は現代社会の乱れた思想を如実に予感 しているが、これらを言向け和し改神させるのが国常立系の三五教宣伝使達である。例え ば開祖の前身とされる初稚姫宣伝使のヒロイン的大活躍は49巻から本格化するが、その スペクタクル性にドキドキしてしまう。
 
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