第二章 厳霊神書を解く鍵

前説
 徳間書店の超知シリーズで"竜宮神示"を表題にした本が出ている。私は出版を心待ちに していた者の一人であったが、読んでみて、あまりに作者が不勉強・不正確なのに呆れてし まった。例えば最後のクライマックスの所で出口王仁三郎聖師の臨終の様子として描かれ ているのは、実は出口うちまる(伊左男)氏(和明氏のお父さん)の臨終の様子である。そし て、正統なる"日月神示全二十三巻"さえニセモノ扱いしている。とんでもない取り違えだ。す べてに渡ってこのような不徹底な姿勢が貫かれているため、かえって"竜宮神示"を歪め、封 じこめてしまいかねない代物に成り下がっている。実に残念だ。読者の皆さんは騙されない よう注意されたい。具体的な行動として出版社あるいは作者に対し責任追求する必要があ ろう。

 では、厳霊神書五書の解釈に入ろう。

世界立て替えの断言書"大本神諭"
 大本開祖が伝えられたのは正確には"おふでさき"と呼び、出口王仁三郎聖師が審神し漢 字混じりに書き直したものを"大本神諭"と呼ぶ。有名であるし入手も簡単な神典である。大 切なのは、初発の頃開祖が文盲であったということ。従って、降ろされた文は書いた本人に も読めなかった。読めてしまえば伝達者の意識によって内容が歪んでしまうのである。晩年 の開祖は自叙伝を示されたが、文をつむぎだしているうちにいつのまにか"おふでさき"の文 体になってしまい、神示なのか開祖のことばなのか区別がつかなくなったという。だからこそ 、審神者としての王仁三郎聖師の眼が光るのだ。内容は地の御先祖である国祖国常立命 が放つ徹底した立て替えの断言的宣言であり大本の核となる。開祖については最近、"いり 豆の花"という好著が出たので詳しくはそちらにゆずることにしよう。但し、気をつけなければ ならぬ点は開祖あっての聖師であり聖師あっての開祖であるということ。これを忘れたらな んにもならない。

世界立て直しの断言書"伊都能売神諭"
 開祖が厳の御魂として厳霊の立て替え的言霊を伝達したのに続き出口聖師が瑞の御魂と して厳霊(国常立命)の立て直し的言霊を伝達したのが本典、七巻七十帖である。瑞の霊( みたま)が厳の霊の権限をすべからく受け入れ掌握し合体調和させ完成されたものを伊都 能売の霊と呼ぶ。故に、瑞が本体ではあるが伊都能売はその神格上厳でも瑞でもない。こ の神典は現在、大本の信徒さんの中でも読んでいる人は少ないが、数年前復刻された"神 霊界"誌に全文が出ている。特記すべきは出口直日三代教主と出口大二氏に関する最後 の一節である。

 いよいよになりたら、三代と大二どのは馬に打ち乗り、古代の立派なO姿で陣頭に立ち、 数萬の神軍を指揮いたさねば成らぬから、...一日も早く致さぬと、肝心のものが間に逢 わぬ如うな、面倒い事が出来いたすぞよ。...            大正八年八月十二日
 私の記憶が確かならば、結局二人がここにある型を打ち出したことはなかった。つまり、面 倒い事になってしまったのである。本来、三代は木花咲耶姫命の御魂として神示を取り次ぎ 、大本一厘の仕組みに仕える御用があった。しかし、それがうまく行かなくなってしまったた め急きょ、出口聖師が初発の大本の仕組みを変えざるをえなくなってしまったのである。そこ のところの理由と経緯は愛善苑に残されている"錦の土産"に詳しいので、ここでは省略す る。そんな訳で、出るはずの神示の一部は大本から離れた岡本天明氏の手によって世に出 ることとなった。
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